日常やらお題消化やらわめいたり悶えたり、そんな感じの場所のなれの果て。
つぶやくには長い言葉や、SSやら映画の感想やら、Twitterより濃いめの冬野さんの根城予定。
久しぶりのフィフティーン。なかなか良い文が浮かばなかったのですが、練った文結構いい仕上がりになったと思います。
今回のお題は「かぐや姫の恋人」
蔵アナ、2のエンディング後の妄想です。
お題をお借りした場所はフィフティーン様↓
押すと飛ぶ!ハズ…
今回のお題は「かぐや姫の恋人」
蔵アナ、2のエンディング後の妄想です。
お題をお借りした場所はフィフティーン様↓
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かぐや姫は一人月に帰っていった。
だけど、もし月が滅んでいたら、
もしも彼女が誰かを愛してしまったら、
どうしていたのだろうか
8.かぐや姫の恋人
「…帰って、来れたんですね。」
周りには木々と大きな湖。その少し遠くに山。
少し肌寒く、そして日頃吸っていたものとは僅かに違う空気。
「はい…」
横にいた彼女も、そして自分自身も、先ほどまでとの大きな環境の違いに、半ば放心状態でいた。
ここで先ほどというのはおかしいのかもしれない。それは意識があるなかでの感覚であって、意識を失っていた正確な時間など知れず、加えてその意識の飛ぶ前にいた高天原に、時間という概念があったかすら怪しいのだから。
低めの位置で輝く太陽は、夜明けであるか日暮れであるのか、ただ水面に反射する輝きが眩しくて、思わず目を細めてしまう。
せめて分かりやすい建造物などがあればよいのに。
高天原から脱出するには、強く望むことだと、あの人は言っていた。
こうして戻ってこれたという事は、ここがあの瞬間に望んだ"自分たちのいた時代”である証拠になる。しかし、それ以上の状況を把握したくても、自分にとって手がかりになるものは殆どない。せいぜい分かるのは、”未だ来たこと無い土地”であるということ。後は、今いる正確な国も、時間もあいまいになってしまっていた。
「アナスタシアさん、申し訳ありません。
ここの場所が少しでも分かればよかったんで…」
どんぐりまなこ。他にたとえようがないくらいに目を見開いて景色を見つめる彼女の姿に、思わず言葉が止まる。
「あ、アナスタシアさん、なにが」
「蔵人様」
相変わらず目線は湖のままだ。思わず瞳がこぼれてしまうのではないかと思ってしまうほどだ。
「はい」
「ここ、もしかしたら知っているかもしれません」
「…本当ですか!!」
「はいっ!前にエドガーに教えてもらった場所に良く似ています…
多分ここは、ロシアの東にある、バイカル湖だと思うんです!」
「ああ、それなら何とかなるかもしれませんね。ではこれから」
忘れていた言葉がよみがえる。
本来なら知る術のない明日を知る母上からの…
「遠くない先に、アナスタシアちゃんの帰る場所は失われるわ」
これから 僕たちは 何処へ…?
「このまま東へ行く方が多分近いんですけど、
海を渡る方法がちょっと難しいかもしれませんね」
「…?」
「…ちょっと遠回りになるけれど、西に向かって、イギリスに行けば」
「アナスタシアさん」
「ロジャーはきっとどの時代でもいそうだし、頼めばきっと乗せてくれるわ」
「アナスタシアさん、一体何処へ」
「どこって、犬神の里に帰らないと」
なぜですか?とこともなげに彼女は聞く。
「なぜって、だってここはロシアなんですよ?ご両親のいるペトログラートに」
「蔵人様の帰る場所が、アナスタシアの帰る場所です。」
少し照れながらそういった彼女の笑顔は、水面の光よりも輝いていて。
甘くあたたかな気持ちがこみ上げてくる。
このひとを、守りたいと強く思った。彼女に降りかかる危機からも、これから彼女に訪れるであろう悲しみからも。
「…必ず、あなたを無事に連れて行きます」
きちんとした、言葉で心をを伝えたい。彼女から貰ったもののように。
「どうか僕と一緒に来てください。僕も、あなたと一緒にいたい。」
「……」
「僕もきちんと言葉にしたかったんです。いつもあなたは伝えてくれるのに、僕はいつもすぐにできなくて。」
「……」
「すいません、なんだか」
あなたの言葉への返事ではなく、僕の口から出るのは自己満足に近くて。こんな時、容易く言葉にできない自分が少し恨めしい。
「…蔵人様が謝る事はないです、ごめんなさい、ただ嬉しくて…」
気がつけば彼女の頬の赤は耳まで染めていた。指先で冷やそうとするのか、手のひらを頬に添えている。自分も、体温が上がっているのを感じる。
「蔵人様…」
「はい」
「連れて行ってください。でも、守られるだけじゃなくて、
私にもあなたを守らせてください。」
彼女の返事はとても彼女らしい答えで、いっそう気持ちが温かくなる。
「はい、一緒に帰りましょう。」
微笑みあい、言葉を交わす。
手を繋ぎ、歩き始める。
僕とあなたと、二人一緒に。
あなたは遠い国のお姫様で、
本当なら互いに存在を知ることなく生きていた。
でも今あなたは、僕の隣で、
満面の笑みを浮かべている。
僕にとってのかぐや姫。
あなたの月はもうすぐ消える。
僕はあなたに泣かないで、とは言えない。
だけど、だけど隣にいる。
月の代わりにはなれないけれど、
涙をぬぐってあげる事はできるから。
君にたくさんの気持ちをあげることはできるから。
だからどうか消えないで。
++++++++++++++++++++
今までとは違った仕上がり、私にしてはそれなりに長くできたんじゃあないかなと思います。どうしたい、という感じのものは結構前から出来上がっていて、それを書きたかったのですがなかなかいい感じに仕上がらず。
ただ時間だけが過ぎてしまいました。(汗)
でもまあ、これができたから無駄じゃない。
書いていると思うのは蔵人様のちょいヘタレな感じ。ヘタレまで行かないかもしれないけれど、かっこよいわけじゃないのがなんとも…
カッコいい蔵人様をいつか書けるようになるのが目標です。
これ、結構この先の事も考えているので、できたら続きとかも書きたいなと思っています。ただ未定(汗)
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プロフィール
HN:
冬野れんげ
性別:
女性
職業:
事務して絵を描く人
趣味:
妄想・読書・映画鑑賞
自己紹介:
ウルアリ/蔵アナ/日向夫妻
(シャドウハーツ)
ネウヤコ(ネウロ)
杉リパ(金カム)
髭ドレ/金酒/アスエウ/
シグブリュ(えふご)
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映画はホラーとアクションとコメディが好き
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